がん克服【切らない手術】放射線の三次元照射
- 2015年12月28日
- がんのお話
胸と背中から一直線に病巣を照射
がん治療で注目を浴びている放射線の三次元(立体)照射治療。専門的には定位手術的照射(SRT)と定位放射線治療(SRT)の二つの治療法をいうが、あらゆる方向から放射線を集中照射して治す治療方法だ。
以前の放射線治療は、がん病巣の前後から照射する一次元照射が通常であった。例えば肺がんを例にとると、胸と背中からがん病巣を一直線上において照射する方法である。
二次元照射は、一平面上のいろんな角度から照射する。先の肺がんを例にとると、胸を横に輪切りにした一平面上で様々な方向から照射する。
三次元照射とは、がん病巣の一点に四方八方から放射線を当てる方法だ。放射線の交わるがん病巣が受ける線量(放射線の量)は非常に大きいが、その周辺の正常細胞が受ける線量はほぼゼロとなる特徴がある。副作用を極力抑えることができ、切れ味鋭い治療効果が得られるため「切らない手術」と評価されている。
手術不可でも治療できる画期的療法
Aさんは、右肺の下葉区域切除手術を受けた2年後今度は左肺に扁平上皮癌(へんぺいじょうがん)が見つかり、再度大がかりな左肺の下葉区域切除手術と術後の放射線治療を受けることになった。この時の放射線治療は二次元照射で、一回2グレイの放射線を25回受けたが、それから半年も経たないうちに左肺に3cm大のがん再発が見つかった。
5月前に左肺の大手術を受けていたので、再手術は無理と判断。抗がん剤も効かない。従来の放射線治療(二次元)も治癒させるには不十分と考えられ三次元照射を選択。
治療は成功し、再発がんは跡形もなく消滅し以前と変わらない生活をしている。