がん克服 【胃がんの名医】凄腕のドクター


静岡県立がんセンター 内視鏡科部長

小野裕之(おの ひろゆき)先生

1962年 北海道生まれ

1987年 札幌医科大学卒業 同大第四内科に入局

1991年 国立がん研究センター中央病院研修医

2002年 静岡がんセンター開院にともない同センター内視鏡科部長に就任

2012年 同センター副院長兼内視鏡科部長

ESD(内視鏡的粘膜剥離)治療法を開発

国立がん研究センターのレジデントだったときに、早期がんを一括して取ることのできるESDという治療法を開発した。それまでは、EMR(内視鏡的粘膜切除術)が主流であった。

EMRは、内視鏡の先端からループ状のワイヤーを出して隆起させておいたがん病巣にかけ、ワイヤーを締めて高周波電流を出して焼切る。この方法の弱点は、直径2㌢程度になると分割して取ることになり、しかも再発率が20%もあることだ。

がん病巣を一括して綺麗に取れないか。がんの周囲を切り、剥ぎ取るアイデァが浮かんだものの良い器具がない。その時先輩の細川光一医師が、針状高周波メスの先端に絶縁体を付けようと。すぐさま実験を行い、臨床応用にこぎつけたのが1995年の暮れ。その後細川医師は転院し、後輩の後藤田卓志医師が開発に加わった。

1998年、悪戦苦闘の末ESDが技術的完成を見た。5年後にITナイフが市販され、2006年に保健適用になるやESDはあっという間に広がった。

名医の条件

名医とは「患者が患者を呼ぶ」存在と言われる。治療を受けた患者が、その医師に心酔して別の患者を紹介するのだ。だが、患者に医師の人間性は分っていても、本当の意味での手術の技量は分からない。手術の技量を知りうるのは、同じ手術を行う医師達である。

小野裕之医師は、最大150㍉の早期がんを治療したこともある凄腕の医師だ。名医の条件を伺うと「まずは腕です。第二が心です」と明快だ。 モットーは「早く、正確に、安全に」という。

全国から患者が来院 ESD手術のメリット

お腹を切らずに胃がんを治すなら小野医師と、日本全国から患者が後を絶たない。早期胃がんや食道表在がんのESD治療では3000例を超える執刀を誇り、国内だけでなく世界的に手法を普及させた。

ESDのメリットは、胃を残せることである。術後3日でおかゆが食べれるようになり、5日後には普通に食事ができ、4泊5日で退院できる。開腹手術で胃を切り取った場合は最低2週間程度の入院となり、食事は1日何回も小分けにして少量ずつ食べる。食後は、動悸・めまい・冷や汗などが生じるだピング症候群という後遺症がおこる場合もある。さらに治療費の自己負担額も開腹手術に比べ、半額以下の5~6万円で済む。

~がん克服~

 

 

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