がん克服【治らないがんを治す】肝臓・すい臓・胆管がん


静岡県立がんセンター副院長

上坂克彦(うえさか かつひこ)先生

1958年愛知県豊田氏生まれ。82年名古屋大学医学部卒業。当時新しい分野として注目されていた肝臓外科医を目指す。国立がんセンター病院(東京)にて肝臓がん手術の世界的権威・幕内雅敏医師(現・日本赤十字社医療センター院長)のもとで修行。90年からは、肝門部胆管がんの権威で愛知がんセンター(名古屋市)前総長の二村雄次医師に師事した。02年に静岡がんセンター肝・胆・膵外科部長、11年より現職を務める。

臨床試験報告、世界から注目

膵臓がんの治療で1月に発表された国内の臨床試験の報告が、世界から注目されている。手術の後の再発を防ぐため6ヶ月、従来の標準的な抗がん剤を投与した場合と、経口抗がん剤「S-1(エスワン)」を投与した場合で比較した結果、S-1の手術2年後の生存率は70%と従来の薬より17ポイント高かった。上坂医師には欧米から講演依頼が相次いでいる。「すい臓がんに携わる者として、患者さんを何とか救いたいと始めた研究」と振り返る。

恩師の教え

幕内・二村の両先生からは、血管が複雑に絡み合うデリケートな組織を正確に切る技術もさることながら、「絶対諦めない心」を学んだ。あらゆる手段を考え、患者の為に最善を尽くす。

胆道、肝臓、膵臓などねんかん300を超す手術をこなす今も、その心が精神的な柱。最善の手術法を決める正確な術前診断、手術の高い技量、術後管理を含めたチーム医療の実の高さは定評があり、全国から患者が訪れる。

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