がん克服 【肝がん手術全国第一位】 日本大学医学部附属板橋病院


 消化器外科部長・消化器外科教授

 高山忠利(たかやま ただとし)先生

1980年日本大学医学部卒業。同大大学院外科学科終了。国立がんセンター中央病院外科医長。東京大学膵移植外科助教授を経て、2001年から現職。

日本外科学会専門医・指導医・評議員。日本消化器学会専門医・指導医・評議員。外科学会高度技術指導医・評議員など。

日本肝臓学会織田賞、東京都医師会賞など受賞。

肝臓外科医のナンバーワン

尾状葉単独切除という手術を世界で初めて成功させた。

尾状葉とは、肝臓の最も奥深い部位で、そこにがんが発生した患者は手術不可能とされていた。医師も患者もあきらめていた肝臓がんの手術に大きな光をあてた医師である。

2001年より板橋病院でメスをふるうが、手術回数は年々増加し、2008年より肝がん手術数では全国第一位を誇っている。(朝日新聞調べ)

 肝がん治療の5年生存率が全国平均より8%UP

高山:30年位前は、肝臓がんと診断されたら余命半年といわれていました。現在手術による治療では、5年生存率は全国平均で53%ですが、板橋病院消化器外科の場合は61%です。30年前はわずか20%程度でしたから大きな改善です。これだけ生存率が高くなったのは、肝臓がん手術の飛躍的進歩と、ラジオ波焼灼療法などの新しい治療法の登場があります。5年生存率は今後とも右肩上がりに上がっていくと考えています。

 板橋病院の5年生存率が高い背景

高山:一口で言えば、私たち消化器外科チームの肝臓がん手術が丁寧であるということです。肝内の小さな血管も、丁寧に止血をしながら手術を進めることによって、私たちは370ccに出血量を抑えて手術が出来るようになっています。全国平均が1000ccですからおよそ1/3です。ですから、輸血の必要もありません。止血を丁寧に行うため、手術時間は他の病院より1.5倍ほど長くなると思います。平均で6~8時間、時には12時間もかけて行う長い手術も珍しくありません。

私の手術を見学に見えた外科医からも「先生の手術は時間をかけてとても細かくて美しくやってますね」と言われます。時間が長くても出血量が少ないということは、間違いなく患者さんのプラスになります。

高山先生の手術を受けるには

高山:最初に外来で診察を受けた日から2~3週間後には手術が可能です。退院は手術をした日から1週間前後です。私どもの手術は出血が少なく、ほとんど輸血を行わず、手術合併症もほとんどありませんので退院も早くなります。

高山先生のモットー「細心と革新」

高山:板橋病院には、他院で切除不能と判断された患者さんが、セカンドオピニオンで訪れることも少なくありません。私たち消化器外科チームは、その中のやく30%患者さんは切除可能と判断し、手術を行っています。その背景を私のモットーである「細心と革新」という言葉で説明させてください。

いま、病院で苦しんでいる患者さんを丁寧に時間をかけて手術する、これは「細心です」。しかし、細心だけでは将来展望が開けません。「革新」つまり学問としてさらに発展させなければ、外科治療の開発や向上について新たな方法論や概念が見えてきません。外科医としてのモチベーションも上がってきません。「細心」と「革新」は車の両輪です。つまり、手術と学問は外科学の両輪なのです。

この信念に基づいて、いま患者さんにとってベストな治療方法を提供しながら、さらにより優れた治療や手術法を目指す私たちの姿勢こそが、訪れる患者さんの希望や治癒の可能性を広げているのだと信じています。

~がん克服のための名医~

 

 

 

 

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