副作用の対応など解説
国立がんセンターの研究班はこのほど、がん治療によって生じる副作用(脱毛や皮膚炎など)について、がん患者の外見の変化をケアする治療法などをまとめた指針を発表した。
患者にとって、外見に関わる副作用は大きな苦痛だが、命にかかわらない為に十分な対応がなされてこなかった。研究班は、「全国の医療現場で患者支援に活用してもらいたい」と、訴える。
がん患者の外見ケア指針項目例
*抗がん剤による色素沈着の治療にビタミンC内服液は有効か
⇒科学的根拠が乏しい為、基本的に勧められない。
*放射線治療による皮膚障害への安全なスキンケア方法は
⇒泡を使って優しく洗い、すすぎは十分に。「無添加」「敏感肌用」にこだわる必要はな い。
*抗がん剤終了後に再び生えた髪は染めてもいいか
⇒毛染め剤のアレルギーや頭皮の湿疹などがなく、治療前に使用していたものを注意部飽く使用することは否定しない。
*爪の変形を安全にカバーするには
⇒ジェルネイルなど硬化性の樹脂製品は推奨できない。ネイルチップ両面テープで接着することは否定しない。
指針は2部構成
「抗がん剤や放射線の副作用を治療する方法」と「日常生活での対応」の2部構成。
抗がん剤によって生じる皮膚の色素沈着への治療や予防とビタミンCの内服・抗がん剤治療による皮膚の症状とステロイド外用薬・抗がん剤治療中の脱毛への対応・・など50項目について、過去の研究データーに基づき、6段階の推奨度と解説を掲載。髪を染めてもいいか・・などの患者からの質問も内容に盛り込んだ。
~がん克服~
国とワクチンメーカーの責任を問う
子宮頸がんワクチンの接種後に健康被害にあった女性(15歳~22歳)が27日、福岡、大阪、名古屋、東京の地裁に、国とワクチンメーカーの責任を問う集団訴訟を起こす。その一人、山梨県の高校3年望月瑠菜(もちずき るな)さんは、小学6年だった2010年から11年3月にかけて、ワクチンを3回接種した。中学1年の9月頃から膝に痛みが出て、卒業のころには全身が痛むようになった。
「元の体に戻して」切実な願い
異変が起きたのは高校1年の夏休み。車から降りようとしたとき、突然脱力感に襲われ足に力が入らず、翌日には全く歩けなくなってしまった。整形外科、脳神経外科、など10ヶ所以上の医療機関を受診したが原因は分からなかった。リハビリに通っていた医療機関で、ワクチンが関連する可能性を指摘され、信州大学で診察を受けたところ15年5月に「ワクチン接種による副作用」と診断された。
一時は箸やペンも持てないほど手が震え、今でも体調不良で学業もままならず「このままでは日々の生活にも支障をきたす。楽しいはずの高校生活も辛い思いが先に立つ。元の体に戻りたい。」と、切実な思いで裁判に臨む。
厚労省の対応が遅い
厚労省の検討部会は14年、ワクチン接種後の症状について「心身の反応によるもの」との検討結果をまとめる一方、健康被害(副作用)を訴える患者を診る協力医療機関を整備し、研究班を作って治療法の開発などを急いでいる。
ワクチンメーカーが推計する14年11月までの接種者数は約338万人。副作用報告があったのは2584人で、厚労省の追加調査では、このうち186人の症状が回復していない。人生を左右するほどの健康被害に対し、メーカーも厚労省も対応が遅い。早急に被害者の身になって適切な対応・救済をするべきだ。
国立がん研究センターが今年新規がん患者数を予測
初めて100万人の大台
2016年に新たにがんと診断される患者数は、15年より2万8000人増えて101万2千人になるとの予測を国立がん研究センターが15日発表した。年間100万人を超える新規がん患者数の予測は初めてとなる。
理由として、「高齢人口の増加や診断精度が上がったこと」としている。
部位別の多い順は、
①大腸がん(14万7200人)
②胃 がん(13万3900人)
③肺 がん(13万3800人)
④前立腺 ( 9万2600人)
⑤乳房 ( 9万 人)と続く。
また、16年にがんで亡くなる人は、15年より3000人多い37万4000人(男性22万300人、女性15万3700人)と予測した。男性は肺がん、女性は大腸がんの死亡が最も多いと予測している。
がん検診・早期発見が大切
~がん克服のために~
加藤庸子(かとう ようこ)先生
藤田保健大学脳外科教授 同大学病院救急医療センター長
1978。3 愛知医科大学医学部卒業 研修医
1981.3 足利赤十字病院脳神経外科研修医
1981.9 中華人民共和国蘇州医学第一病院留学
1982.8 トヨタ記念病院脳神経外科
1984.4 藤田学園保健衛生大学脳神経外科助手
1986.4 オーストラリア グラーツ大学留学
1991.4 藤田保健衛生大学脳神経外科講師
2000.4 同大 脳神経外科助教授
2006.4 同大 脳神経外科教授
2008.4 同大病院救急救命センター副センター長兼務
2011.4 同 センター長兼務
真の名医!加藤医師の朝は早い
加藤医師は朝5時に出勤、カンファランス・回診・手術・外来と目まぐるしく立ち働くが、彼女の患者への気配りは細やかだ。
患者と向き合う
「治療への不安を解消するには、患者さん同士で情報交換してもらうのが一番」という信念から、自分が受け持つ患者たちと一緒に、毎朝病院の周囲を散歩している。そんな「早朝の散歩」は、もう10年も続いているという。
高見裕子(たかみ ゆうこ)先生
国立病院機構九州医療センター 肝臓・胆道・すい臓外科科長
1965年 愛媛県今治市生まれ(今治西校)
1988年 九州大学薬学部卒業
1990年 長崎大学医学部入学
1996年 長崎大学医学部卒業 同第二外科研修医
1997年 九州医療センター外科研修医
1998年 長崎県立島原温泉病院外科医
1999年 国立療養所村山病院外科医
2002年 九州医療センター外科医
2011年 同肝臓病センター肝・胆・膵外科科長
肝機能が悪くても受けられる「マイクロ波凝固壊死療法」
肝臓がんの手術を行えるかどうか、その大きな障害となるのが肝機能だ。どんなにがんが小さくても、肝機能が悪いと治療を断念する場合が少なくない。高見先生は「そんな患者さんの為にあるのがマイクロ波凝固壊死療法だ」と明言。
周囲の反対を押し切って
高見先生の、この治療に掛ける情熱は並々ならぬものがある。研修医時代、担当教授から「才津先生の肝臓治療をよく見てきなさい」と派遣された病院で目にした才津秀樹先生(現・国立病院機構九州医療センター胆道・肝臓・膵臓外科医療企画運営部長)のマイクロ波凝固壊死療法の技術と治療成績に驚きを覚える。「これなら治療をあきらめていた患者も救える」と決心し、当時在籍していた医局の教授や周囲の反対を押し切って飛び出し、才津先生の門下生の一人となった.
今では、その才津先生も高見先生の腕に太鼓判を押すマイクロ波療法の名手となって、多くの手術で執刀医を務めている。
肝臓がん治療の位置づけが歯がゆい
「この治療の考え方は手術と同じです。がんをくり抜くように焼くので、肝切除のように肝臓を大きく切らなくてすみます。また、単にがんの中心に針を刺して焼くのでなくて、周囲の組織やがんに栄養を送る血管から焼いていくので、播種(がん細胞が散らばる)の危険性が低い。これこそ理にかなった治療」と胸を張る。
だからこそ歯がゆいのは、現在の我が国の肝臓治療における、マイクロ波凝固壊死療法の位置づけ、扱われ方と話す。国立病院機構九州医療センターでは多くの肝機能の悪い患者さんが治療を受け、元気で退院していくのにもかかわらず、一部の心無い人から「焼肉療法」と揶揄(やゆ)されたこともあると言う。「肝切除の技術がないから焼いているのだろう」とも言われ、悔しい思いをしてきた。
胆肝膵外科高度技能専門医の資格を取得
外科医としての技術の高さを証明するため、高度の技術を有する医師を認定する「胆肝膵外科高度技術専門医」の資格を取得。初年度の合格者は12名という狭き門であったがそのうちの一人が高見先生だ。
合格の通知があった時の情景を昨日のように思い出す。「そのとき、外科医にとって大切なハサミを、飛び出して(お祝いに)来た医局の教授から戴いたんです。ああ、これで恩師でもある教授から認めて戴けた、と熱いものが胸をよぎりました」と話す。
今後の目標
マイクロ波凝固壊死療法の開拓者、才津先生の跡を継ぐ者としての自覚が、熱い言葉に。
「この療法は海外も注目し始めています。しかし、日本で行っている施設は殆どありません。将来一人でも多くの患者さんがこの治療を受けられるよう、普及させて行きたいと思います」。頼もしい高見先生の言葉だ。
~がん克服~
診療や予防に活用
遺伝性の乳がんや卵巣がんの発症にかかわる遺伝子の検査を受けた人の情報を、全国の医療機関から集めてデーターベース化する登録事業が始められた。遺伝子性の乳がんや卵巣がんは、米女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが乳房を予防切除したことで関心が高まったが、日本の発症率や診療成績などのデーターは不足しているため、全国規模で登録データーを解析し、患者の診療や予防に役立てる。
全国40機関の検査と発症
登録は「日本HBOCコンソーシアム」が実施。全国から40機関が参加する。
対象は、乳がんや卵巣がんの発症にかかわる「BRCA]という遺伝子について検査を受け、同意が
得られた人。各施設が倫理審査会の承認を受けた後、匿名化した情報を今年8月までに入力する。