岩田雅裕(いわた まさひろ)先生
1960(昭和35)年 兵庫県生まれ 55歳
1986年 岡山大学卒業後、岡山大学附属病院口腔外科・広島市民病院口腔外科・岡山赤十字病院口腔外科・琵琶湖大橋病院口腔顎面外科・岸和田徳洲会病院口腔顎面外科・宇治徳洲会病院口腔外科等に勤務 36歳の若さで口腔外科部長を務めるほどの凄腕医師。
安定な生活を捨て、フリーランスに
東南アジアで無償の治療を開始
2001年(平成13年)、カンボジアを旅行中、NPOが運営する小児科病院にたまたま立ち寄った。その数か月後に再訪した折執刀の依頼を受け、これが活動のきっかけになる。ベッドの数は全く足りず、検査機器も十分でない。医療施設とは言えない建物。屋外や学校の机上で診察が行われることもある劣悪な医療環境。このような過酷な現状を見て放っては置けないとの思いが募った。
口の中に発生する様々なトラブル。ご飯が食べられなくなったり、連日の激しい頭痛。虫歯の膿の溜まる場所によっては、脳に達して死に至ることもある。
しかも、医師や医療機関の不足に加え、カンボジアの平均月収は1万円にも満たないという深刻な貧国。途上国の人たちが、満足な治療を受けられない理由の原因はここにある。
そんな人たちを助けたいという一心で、岩田医師は総合病院の口腔外科病院部長という安定した地位と収入を捨て、カンボジアに向かう。しかも、活動は個人的で行い、渡航費用や滞在費は全て自費で賄う。
東京大学大学院工学系研究科・医学系研究科教授
片岡一則(かたおかかずのり)先生
昭和25年 東京都生まれ
昭和49年 東京大学工学部合成化学化卒業
昭和54年 東京大学大学院工学系研究科合成化学専攻博士課程修了後、東京女子医科大学助手。同大学助教授、東京理科大学基礎工学部教授などを経て、平成8年ナノキャリア(株)設立。10年より東京大学大学院工学系研究科教授、16年より同大学院医学系研究科教授を兼任。
フンボルト賞・江崎玲於奈賞など国内外の賞を多数受賞。
SF映画の世界を超えた「ナノマシン」
極小のマシンが体内の病気を診断し、メスを入れずに治療する。半世紀前、SF映画で描かれた夢のような世界がいま、現実のものになりつつある。
その正体は、特殊な機能が組み込まれた高分子の集合体「ナノマシン」だ。
がん遺伝子解析 米国専門誌に発表
十二指腸乳頭部がんのゲノム(全遺伝子情報)を解析し、がんの発生に関する複数の遺伝子を確認したと、国立がん研究センターなどのチームが米専門誌に発表した。
「ELF3」という遺伝子に変異があることも発見し、チームは「新たな治療法の開発に役立つ」としている。十二指腸乳頭部は、胆管が十二指腸につながる部分で、極めてまれながんだ。
チームは、国内と米国で集めた十二指腸乳頭部がん試料172例を解析し、がんの発生や成長に関係のある遺伝子24個を特定。その中に、これまでほとんど報告の無い遺伝子ELF3があった。ELF3が変異すると、がんが拡大したり転移したりする可能性が高まることを実験で確認した。
国内の調査によると、十二指腸乳頭部がん発症確率は10万人当たり1人未満。日本では胆管がんに分類され、胆道がんの治療薬が使われている。
同センターの谷内田真一ユニット長は、「今回確認したがん関連遺伝子の主なものは胆道がんの遺伝子とは異なる。十二指腸乳頭部がんの治療法を見直す必要がある」と話す。
~がん克に向かって~
国立成育医療センターに専門外来
同センター(東京都世田谷区)は、専門外来の主体となる「プレコンセプションケアセンター」を昨年11月に設立し、今月から本格的に業務を始めた。
特に、小児がんの経験者、糖尿病や甲状腺の病気、腎臓病、高血圧、気管支ぜんそくなどのある女性、臓器移植を受けた女性らの相談に力を入れる。
同センターの荒田尚子・母性内科医長によると、持病のある女性が妊娠してはいけないと考え、出産機会を逃すケースが多々あるという。しかし、適切な方法を選べば・妊娠・出産が可能な場合も少なくない。妊娠中に母体の高血糖が続くと、胎児先天性異常の頻度が増えるが、適切な治療でリスクは減る。「持病の治療と妊娠を両立できるように支援していきたい」と荒田さんは語る。
相談や検査は自費診療となる。初回相談は30分1万円。
~がん克服~