がん克服【ピロリ菌に強い酵素発見】東大チーム


胃がん発症を抑制

 胃の粘膜に感染して胃がんを引き起こす細菌「ヘリコバクター・ピロリ菌」について、畠山昌則東京大学教授(感染腫瘍学)らの研究チームが、菌が出すたんぱく質の発がん性を弱め、胃がんの発症を抑制する酵素を発見したと英学会誌ネイチャーの関連誌紙に発表した。

 この酵素を増やしたり、活性化させたりする物質が見つかれば胃がん予防薬の開発に繋がることが期待される。

 ピロリ菌は胃の細胞に取りつくと、針を差し込んで発がん性のあるたんぱく質を注入する。このたんぱく質は、細胞を増殖させる酵素「SHP2」と結びつき、異常に活発化し、がん発症を促す。

 チームは、別の酵素「SHP1」が、ピロリ菌たんぱく質とSHP2の結合を結合を妨げることを人の細胞を使った実験で解明し、ピロリ菌たんぱく質の発がん性が弱まることを解明した。

 またチームは、胃がん患者の約1割で、がん細胞がリンパ腫などの原因になる「エプスタイン・パールウイルス」にも感染している事にも着目。このウイルスに感染した細胞では、胃がん発を抑制するSHP1が作られにきくなり、ピロリ菌たんぱく質の発がん性が、より高まることも突き止めた。畠山教授は、「細菌とウイルスが連携して、人のがん発症を促すことが初めて分かった」と話し、 胃がん予防薬の早期実現を目指す。

~がん克服~

がん克服【子宮頸がんワクチン健康障害】


患者8割同じ遺伝子

 子宮頸がんワクチン接種後の健康障害を訴える少女らを診察している厚生労働省研究班代表の池田修一信州大学教授は16日、脳機能障害が起きている患者の8割弱で免疫システムに関わる遺伝子が同じ型だとの分析結果を発表した。事前に遺伝子型を調べることで、接種後に障害のでる予測につながる可能性があることを示したと、厚生労働省で開かれた発表会で公表した。

 研究班は信州大と鹿児島大で、ワクチン接種後に学習障害や過剰な睡眠などの脳機能障害が出た10代の少女らの血液を採り、遺伝子「HLA-DPB1」の型を調べた。

 その結果、「0501」の型の患者が信州大で14人中10人(71%)鹿児島大で19人中16人(84%)を占めた。「0501」型は一般の日本人の集団では4割ていどとされ、患者の型に偏りがみられた。

 池田教授は、「ワクチンの成分と症状の因果関係は分からないが、接種前に血液型でHLAを調べることで発症を予防できる可能性がある」と話した。

 研究班は今後、対象を手足の痛みなどの別の症状のある患者も含めて150人に広げ、発症のメカニズムなどについて研究を進める。

 子宮頸がんワクチンは2009年12月以降、小学6年から高校1年の少女を中心に約338万人が接種をうけたが、副作用報告が相次いで13年6月から接種の呼びかけが中止されている。

 免疫異常誘発可能性

 厚生労働省研究班の今回の分析は、子宮頸がんワクチンの接種が自己免疫異常を引き起こしている可能性を示す。

 まだ調査は少なく「科学的に意味はない」(日本産婦人科学会前理事長の小西郁夫・京都大教授)との指摘もあるが、厚労省の専門家検討会が原因とみている接種時の痛みや不安に伴う「心身の反応説」とは異なる研究で、今後の結果が注目される。

 世界保健機構(WHO)は同ワクチンの安全宣言をだし、接種の呼びかけを中止している日本の対応を批判している。名古屋市も昨年、7万人を対象にした調査で接種者と未接種者の間に発症差はなかったとの結果を発表しており、接種再開を求める声も強い。

 ただ、患者らが訴える症状の原因は、まだ解明できたとは言えない。研究班は複数のワクチンのをマウスに接種する実験で、子宮頸がんワクチンのを打ったマウスの脳神経だけに抗体が沈着する以上が見つかったとしており、新たな知見が得られる可能性もある。 

 接種再開の議論をする際には、厚労省が進めている大規模免疫学調査に加え、原因解明や治療法の」開発状況を考慮することが求められる。

HLA

 細胞の表面にあるたんぱく質で、体に入る異物を攻撃する目印になる。HLAを構成する遺伝子は複数あり、それぞれのHLA型は糖尿病やベーチェット病など様々な病気のなりやすさと関係しているとされる。研究者らがつくる国際データーベースによると「HLA-DPB1]の型が「0501」の人は、日本や中国、オーストラリヤなどで多い一方、欧州や北米では低い傾向にある。

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がん克服【家族の会を発足】福島の甲状腺がんの患者ら


「家族の会」会員募集

 東京電力福島第一原発事故後に福島県が実施している県民健康調査で、甲状腺がんと診断された5人の患者とその家族が12日、「311甲状腺がん家族の会」を発足させた。

 孤立している患者や家族同士が親睦を深め、治療や情報交換・課題解決のために政府や県に働き掛けていくという。

 県子調査では昨年末までに、事故当時18歳以下だった166人が甲状腺がんやその疑いがあると診断されている。

 この日の記者会見には、患者2人の父親もインターネット中継で参加。事故当時10代の患者の父親は「突然がんと言われて辛い思いをした。気持ちを分かり合える方たちと話しただけでも救われる思いだ。悩んでいる人は沢山いると思う。勇気を出して参加してほしい」と呼びかけた。

 年会費は1家族1000円。入会や相談は070-3132-9155まで。

 メール311tcfg@gmail.com  ホームページ311kazoku.jmdo.com

 

 

 

 

 

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