がん克服【がん増殖の遺伝子発見】がんセンターチーム


新しい治療薬開発の可能性

 さまざまな種類のがんの増殖に関わる遺伝子をみつけたとの研究成果を、国立がん研究センター研究所のチームが12日付の科学雑誌に発表した。低酸素や栄養不足などのストレスにさらされる細胞を保護する働きをしており、この遺伝子の働きを阻害する物質を開発できれば、幅広くがん細胞の増殖を抑える新たな抗がん剤につながる可能性があるという。

 チームは、「IER5]という遺伝子が作るたんぱく質に着目。がん化との関連は知られていなかったが、分析の結果、だいちょうがん、胃がん、腎臓がん、卵巣がんなど様々ながん組織で、正常組織より量が増えていた。

 人のがん細胞がんを使った実験などから、この組織が「HSF1]という別のタンパク質の働きを活性化し、がん細胞をストレスから回復させる「HSP]というたんぱく質が新たに作られることが判明。がん細胞でIER5の働きを抑えたところ、増殖が抑えられた。

 また、膀胱がんや脳腫瘍などでは、IER5が活発に働いている患者は、あまり働いていない患者より死亡率が高く、がんの進行や移転に関与している可能性も示された。

 同研究所希少がん研究分野の大木理恵子主任研究員は「正常な細胞でのIER5の働きはまだわかっていないが、IER5の働きを阻害する物質が見つかれば、様々ながんを抑制する治療薬の開発に繋がる可能性がある」と話す。

~がん克服に向かって~

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