がん克服【治療と就労両立支援】
- 2016年05月30日
- がんニュース
働く人に支援策
厚生労働省は2月、がん患者らが治療と仕事を両立できるように支援する事業所向けのガイドラインを発表し「時間単位の休暇制度や時差出勤制度の導入」「医療機関との連携」などの支援策を盛り込んだ。5年生存率は6割近くになり、通院しながら働く人は32.5万人と言われる。一方、診断時に働いていた人の25%ほどが退職との調査結果もある。
療養中に復帰計画
「毎年健康診断を受ける事の大切さがよくわかった」。生活協同組合コープみらいのAさん(男性59歳)は、店長として働いていた昨年5月、職場の診断で異常が見つかり、7月に初期の胃がんと告知され、8月に入院し胃の2/3を摘出した。
コープみらいは2010年度、病気で休職した職員向けに最長2年の復職支援制度を設けた。Aさんは自宅療養の間に、産業医や人事担当者と面接を重ね計画を立てた。勤務先を自宅に近い店舗に変え、昨年10月からリハビリ訓練を始めた。勤務日数を週3回から徐々に増やし、今年1月から副店長として勤務に復帰。月一回、有給休暇を取り通院する。
コープみらい労働安全衛生課の深井好子さんは「胃がんの術後は食事量と内容の管理が難しい。早期復帰を目指す人の意欲を尊重しつつ、無理のない計画を考えた」と話す。
誰もが働ける環境整備を
東京都内の家電メーカーに勤めるBさん(女性47歳)は、13年に乳がんと診断された。1年休職して抗がん剤治療や手術を受け、半年の時間制限勤務を経て、今は通常通り働く。休職中の仕事は同僚が数人で引き継ぎ、「病名は伏せたい」との希望もかなえられた。上司がいつも「無理しないで」と言ってくれたことにも救われた。
AさんBさんの場合は、会社がよく対応したケースだが、パートや派遣など非正規雇用などでは、契約打ち切りが心配で休めない人も多い。誰でもが病状に応じ、働ける環境つくりが望まれる。