がん克服【ピロリ菌に強い酵素発見】東大チーム
- 2016年03月26日
- がんニュース
胃がん発症を抑制
胃の粘膜に感染して胃がんを引き起こす細菌「ヘリコバクター・ピロリ菌」について、畠山昌則東京大学教授(感染腫瘍学)らの研究チームが、菌が出すたんぱく質の発がん性を弱め、胃がんの発症を抑制する酵素を発見したと英学会誌ネイチャーの関連誌紙に発表した。
この酵素を増やしたり、活性化させたりする物質が見つかれば胃がん予防薬の開発に繋がることが期待される。
ピロリ菌は胃の細胞に取りつくと、針を差し込んで発がん性のあるたんぱく質を注入する。このたんぱく質は、細胞を増殖させる酵素「SHP2」と結びつき、異常に活発化し、がん発症を促す。
チームは、別の酵素「SHP1」が、ピロリ菌たんぱく質とSHP2の結合を結合を妨げることを人の細胞を使った実験で解明し、ピロリ菌たんぱく質の発がん性が弱まることを解明した。
またチームは、胃がん患者の約1割で、がん細胞がリンパ腫などの原因になる「エプスタイン・パールウイルス」にも感染している事にも着目。このウイルスに感染した細胞では、胃がん発を抑制するSHP1が作られにきくなり、ピロリ菌たんぱく質の発がん性が、より高まることも突き止めた。畠山教授は、「細菌とウイルスが連携して、人のがん発症を促すことが初めて分かった」と話し、 胃がん予防薬の早期実現を目指す。
~がん克服~