がん克服 【がん治療、どこまで必要か】


毎日新聞2013年6月26日 勝間和代のクロストーク

今回のテーマは「がん治療の是非」です。

日本人の死因のトップが悪性新物質、すなわちがんであることについては、皆さんもよくご存じだと思います。40~50代の中高年の死因の半数近くは男女ともがんですので、身近な方ががんで亡くなった経験をお持ちの方も少なくないでしょう。多くの方は、がんの早期発見や早期治療の重要性を、十分に認識されていると思います。

一方、最近は慶応大学病院の近藤誠医師をはじめ「治療の必要のないがん」「治療すれば治るがん」「治療しても治らないがん」を区分し、治療の必要のないがんや、治らないのに、治療によってかえって生活の質をさげてしまったり、患者の体質を奪ったりする手術や抗がん剤治療に警鐘を鳴らす声もあります。私も、こうした考えに賛成です。

反論を覚悟の上で主張すると、行き過ぎたがん検診や早期の手術、抗がん剤治療は、私たちのがんに対する恐怖をあおるような存在になっているのではないでしょうか。抗がん剤が寿命に与える影響について十分に立証されていなかったり、治療に深刻な副作用があったりしても、死への恐怖恐怖患者が飛びついてしまうことから、過剰な医療がなされている可能性があると考えます。

死への恐怖は、私たちの理性的な判断を曇らせてしまいます。フランスの国王ルイ14世は、病気の予防という目的で、主治医から大変難しい手術をされ、歯をすべて抜かれてしまいました。そのため、ルイ14世はその後、消化不良に一生苦しんだということです。

死への恐怖から過剰な医療や薬に頼る現代の私たちの心理も、当時とあまり変わっていないのかもしれません。

がんは深刻な病気であり、適切な対処がなされるべきと、私も考えます。しかし、それが過剰な治療や、死への恐怖をあおった商売に利用されているのではないかと懸念しているのです。

がんの治療は、手術で患部を切除したり、抗がん剤で縮小されたりすることばかりではありません。例えばモルヒネを使って痛みを取るような緩和ケァを積極的に行ったり、患者の免疫力を強化する事が、もっと必要ではないかと考えているのです。

現在のがん治療をどう思いますか。今後はどんながん治療目指すべきでしょうか。皆さんのご意見をお待ちしております。

 

 

 

 

 

 

 

 

がん克服 【がん細胞を効果的に攻撃繊維開発】


毎日新聞2013年6月15日 朝刊

物質・材料研研究員チーム 〈局所治療で副作用軽減〉

がん細胞に直接貼って、がん細胞を効率的に攻撃する繊維を、物質・材料研究機構(茨城県つくば市)の荏原充宏研究員らのチームが開発したと14日発表した。熱と抗がん剤を組み合わせた。局所的な治療で、抗がん剤の副作用の軽減が期待できるという。

同日付きの独科学誌「アドバンスト・ファンクショナル・マテリアルズ」(電子版)に掲載された。

チームは、温めると収縮する数ナノ(ナノは10億分の1)の高分子を束ねて1本直径500ナノの繊維を作り、メッシュ状にした。それに、磁場をかけると発熱する磁性流子と、一般的な抗がん剤を含ませた。

磁場をかけると温度は43~45度に上がり、がん細胞を弱らせると同時に、収縮した繊維から抗がん剤がしみ出す仕組みとなっている。

皮膚がんの培養細胞で実験したところ、何もしない場合は2日後に57%増加したが、抗がん剤だけ使うと74%減少、メッシュをのせて磁場をかけると81%減少した。

再発防止のためにがん細胞を切除した後に内臓や皮膚の表面に張ると効果的という。今後のがん治療に期待が持てそうです。

 

 

オフィシャルサイトに戻る