がん克服 【がん治療、どこまで必要か】
- 2013年07月05日
- がんニュース
毎日新聞2013年6月26日 勝間和代のクロストーク
今回のテーマは「がん治療の是非」です。
日本人の死因のトップが悪性新物質、すなわちがんであることについては、皆さんもよくご存じだと思います。40~50代の中高年の死因の半数近くは男女ともがんですので、身近な方ががんで亡くなった経験をお持ちの方も少なくないでしょう。多くの方は、がんの早期発見や早期治療の重要性を、十分に認識されていると思います。
一方、最近は慶応大学病院の近藤誠医師をはじめ「治療の必要のないがん」「治療すれば治るがん」「治療しても治らないがん」を区分し、治療の必要のないがんや、治らないのに、治療によってかえって生活の質をさげてしまったり、患者の体質を奪ったりする手術や抗がん剤治療に警鐘を鳴らす声もあります。私も、こうした考えに賛成です。
反論を覚悟の上で主張すると、行き過ぎたがん検診や早期の手術、抗がん剤治療は、私たちのがんに対する恐怖をあおるような存在になっているのではないでしょうか。抗がん剤が寿命に与える影響について十分に立証されていなかったり、治療に深刻な副作用があったりしても、死への恐怖恐怖患者が飛びついてしまうことから、過剰な医療がなされている可能性があると考えます。
死への恐怖は、私たちの理性的な判断を曇らせてしまいます。フランスの国王ルイ14世は、病気の予防という目的で、主治医から大変難しい手術をされ、歯をすべて抜かれてしまいました。そのため、ルイ14世はその後、消化不良に一生苦しんだということです。
死への恐怖から過剰な医療や薬に頼る現代の私たちの心理も、当時とあまり変わっていないのかもしれません。
がんは深刻な病気であり、適切な対処がなされるべきと、私も考えます。しかし、それが過剰な治療や、死への恐怖をあおった商売に利用されているのではないかと懸念しているのです。
がんの治療は、手術で患部を切除したり、抗がん剤で縮小されたりすることばかりではありません。例えばモルヒネを使って痛みを取るような緩和ケァを積極的に行ったり、患者の免疫力を強化する事が、もっと必要ではないかと考えているのです。
現在のがん治療をどう思いますか。今後はどんながん治療目指すべきでしょうか。皆さんのご意見をお待ちしております。