がん克服【尿でがん検査】検査が簡易に


日立と住商で検査新技術開発

 日立製作所と住友商事グループは14日、がんにかかっているかを尿検査で判別する技術を開発したと発表した。現在は血液検査で判別するのが主流だが、尿検査は簡易で費用も安くなるそうだ。臨床データーを積み上げて実用化を目指す。

 大腸がんと乳がんの患者、健常者を各々15名ずつ調べた。尿に含まれる1300種類の老廃物を解析した所、大腸がんと乳がんの患者は特定の老廃物が増殖していた。がん患者かどうかの判断と、大腸がんか乳がんかの判別も明確にできたという。検査すべき老廃物も10種類程度にまで絞り込めており、関連技術をを複数特許申請した。

 現在は、基礎研究段階のため検査結果が出るまで数日かかるが、すぐに検査結果が分かるように簡易な方法を研究中。開発関係者は記者会見で、「早期発見につながるほか、治療後に再発していないかのチェックにも役立つだろう」と話した。

がん克服【高額化進む:がん新薬】


新薬一つだけに年2兆円の医療費

 問題の新薬は、新しいタイプのがん治療薬「オプジーポ(一般名ニポルマブ)」だ。

 がん細胞を直接破壊する従来の抗がん剤とは異なり、がん細胞が掛けた免疫のブレーキを解除して、免疫力を回復させがんを攻撃する。当初の治療対象だった皮膚がんの悪性黒色腫だけでなく、昨年12月から患者の多い1部の肺がんにも公的保険が適用されるようになった。

 一方、オプジーポにかかる膨大な医療費は公的保険制度を脅かしそうだ。日赤医療センター化学療法科の国頭(くにとう)英夫部長の試算によると、標準的な体格の人にオプジーポを投与すると一人当たり年3460万円かかる。対象となる肺がん患者5万人全員に投与した場合、年間2兆円ほどかかる。これは、現在の日本の薬費全体の2割に達する額だ。国頭部長は、「肺がんへの適用拡大後、オプジーポの売り上げは急激に伸びており、このままでは国が亡びかねない」と危惧する。

高額の薬の適用拡大に疑問

 ある医師は、「コストを考えずに薬を使い続けて、将来の世代に負担を先送りする今のシステムでは立ちいかなくなる」と語る。毎日新聞が実施したがん患者30団体へのアンケート調査でも、「高額医療制度があっても、患者負担は多すぎる」と、がん治療薬の高額化を問題視する意見が約半分を占めた。

 薬価の決め方も問題だ。薬価の決め方は一般に、薬の開発などにかかった費用に一定の利益を上乗せし、その総額を推定される患者数で割ったものを、厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」が了承する・・というのが大まかな流れだ。オプジーポは当初、悪性黒色腫という患者数が年470人と極めて少ない皮膚がんを対象にして薬価がついた。患者が少ないため、高額になった。では、年間5万人の肺がん患者に適用するとなったら、価格は1万分の1で良くないか。薬剤会社が儲かって、国民の保険料が増えるのは何かおかしい。

 ~がん克服~

 

 

がん克服【治療と就労両立支援】


働く人に支援策

 厚生労働省は2月、がん患者らが治療と仕事を両立できるように支援する事業所向けのガイドラインを発表し「時間単位の休暇制度や時差出勤制度の導入」「医療機関との連携」などの支援策を盛り込んだ。5年生存率は6割近くになり、通院しながら働く人は32.5万人と言われる。一方、診断時に働いていた人の25%ほどが退職との調査結果もある。

療養中に復帰計画

 「毎年健康診断を受ける事の大切さがよくわかった」。生活協同組合コープみらいのAさん(男性59歳)は、店長として働いていた昨年5月、職場の診断で異常が見つかり、7月に初期の胃がんと告知され、8月に入院し胃の2/3を摘出した。

 コープみらいは2010年度、病気で休職した職員向けに最長2年の復職支援制度を設けた。Aさんは自宅療養の間に、産業医や人事担当者と面接を重ね計画を立てた。勤務先を自宅に近い店舗に変え、昨年10月からリハビリ訓練を始めた。勤務日数を週3回から徐々に増やし、今年1月から副店長として勤務に復帰。月一回、有給休暇を取り通院する。

 コープみらい労働安全衛生課の深井好子さんは「胃がんの術後は食事量と内容の管理が難しい。早期復帰を目指す人の意欲を尊重しつつ、無理のない計画を考えた」と話す。

誰もが働ける環境整備を                                       

 東京都内の家電メーカーに勤めるBさん(女性47歳)は、13年に乳がんと診断された。1年休職して抗がん剤治療や手術を受け、半年の時間制限勤務を経て、今は通常通り働く。休職中の仕事は同僚が数人で引き継ぎ、「病名は伏せたい」との希望もかなえられた。上司がいつも「無理しないで」と言ってくれたことにも救われた。

 AさんBさんの場合は、会社がよく対応したケースだが、パートや派遣など非正規雇用などでは、契約打ち切りが心配で休めない人も多い。誰でもが病状に応じ、働ける環境つくりが望まれる。

がん克服【がんで転職】研究機関調査


4割が非正規

 正社員の時にがんになり転職した人のうち、派遣やパートなどの非正社員になった人の割合が43.8%だったとする調査結果を、三菱UFJリサーチ&コンサルティングがまとめ発表した。調査担当者は「転職者の約半数が非正規に転じているのは重い。同じ職場で働けるような環境作りが不可欠だ」と話す。

 調査は昨年8月、正社員として働いている時がんにかかり、現在も仕事をしている65歳以下の男女にインターネットで実施し、計978人から回答を得た。男性は大腸がん、女性は乳がんが多く、病気が見つかった年齢は男性では50代が50、6%女性は40代が43,8%だった。前の職場を辞めた理由は「体力的に就労継続が困難」が24%「両立制度の不備」が11,7%だった。

~がん克服~

がん対策基本法改正案


企業は雇用継続努力を

 がん患者の雇用継続に企業が務める事を新たに定める「がん対策基本法改正案」が、議員立法で提出されることが決定した。がん患者の就労支援を法的に位置付け、がんになっても安心して暮らせる社会の構築をめざし、超党派の「国会がん患者と家族の会」(代表世話人・尾辻秀久参院議員)が今国会へ提出する。

 2006年に成立した同法は、国内どこでも同じレベルのがん医療を受けられる環境作りをめざし、医療者の育成や医療機関の整備、政府が総合的ながん対策として「がん対策推進基本計画」を策定することなどを定めた。改正案はこの10年の変化を踏まえ、基本理念に「がん患者が、医療のみならず福祉的支援、教育的支援、必要な支援等が受けられるようにする」などを追加する。

 厚生労働省によると、がん患者で仕事を辞めた人は03年、13年のいずれも34%と、基本法成立後も改善していない。このため改正案は「事業主の責務」を新設し、企業などが雇用継続に配慮する様に努めるとともに、国や自治体に必要な施策を講じるよう定めた。

 小児がん患者らが学業と治療を両立できるように、適切な教育を受けるための環境整備も新たに盛り込む。国や自治体による患者団体や支援団体への支援も初めて明記する。 

がん対策基本法改正案 ポイント

● 企業など事業主はがん患者雇用契約などへの配慮に努める。国や自治体は、がん患者や家族の雇用継続、就労に向け事業主を啓発する。

● 学業と治療にの両立に向けた環境の整備。

● がん登録で得られた情報の活用。

● がん患者や支援者団体の活動を支援。

● 国や自治体はがん検診の実態把握に努める。

● がん患者の家族の生活の質の向上。

● がん治療に伴う副作用、合併症などの予防や軽減に関する方法の開発。

~がん克服~

 

 

 

がん克服【ピロリ菌に強い酵素発見】東大チーム


胃がん発症を抑制

 胃の粘膜に感染して胃がんを引き起こす細菌「ヘリコバクター・ピロリ菌」について、畠山昌則東京大学教授(感染腫瘍学)らの研究チームが、菌が出すたんぱく質の発がん性を弱め、胃がんの発症を抑制する酵素を発見したと英学会誌ネイチャーの関連誌紙に発表した。

 この酵素を増やしたり、活性化させたりする物質が見つかれば胃がん予防薬の開発に繋がることが期待される。

 ピロリ菌は胃の細胞に取りつくと、針を差し込んで発がん性のあるたんぱく質を注入する。このたんぱく質は、細胞を増殖させる酵素「SHP2」と結びつき、異常に活発化し、がん発症を促す。

 チームは、別の酵素「SHP1」が、ピロリ菌たんぱく質とSHP2の結合を結合を妨げることを人の細胞を使った実験で解明し、ピロリ菌たんぱく質の発がん性が弱まることを解明した。

 またチームは、胃がん患者の約1割で、がん細胞がリンパ腫などの原因になる「エプスタイン・パールウイルス」にも感染している事にも着目。このウイルスに感染した細胞では、胃がん発を抑制するSHP1が作られにきくなり、ピロリ菌たんぱく質の発がん性が、より高まることも突き止めた。畠山教授は、「細菌とウイルスが連携して、人のがん発症を促すことが初めて分かった」と話し、 胃がん予防薬の早期実現を目指す。

~がん克服~

がん克服【十二指腸乳頭部がん】遺伝子確認


がん遺伝子解析 米国専門誌に発表

 十二指腸乳頭部がんのゲノム(全遺伝子情報)を解析し、がんの発生に関する複数の遺伝子を確認したと、国立がん研究センターなどのチームが米専門誌に発表した。

 「ELF3」という遺伝子に変異があることも発見し、チームは「新たな治療法の開発に役立つ」としている。十二指腸乳頭部は、胆管が十二指腸につながる部分で、極めてまれながんだ。

 チームは、国内と米国で集めた十二指腸乳頭部がん試料172例を解析し、がんの発生や成長に関係のある遺伝子24個を特定。その中に、これまでほとんど報告の無い遺伝子ELF3があった。ELF3が変異すると、がんが拡大したり転移したりする可能性が高まることを実験で確認した。

 国内の調査によると、十二指腸乳頭部がん発症確率は10万人当たり1人未満。日本では胆管がんに分類され、胆道がんの治療薬が使われている。

 同センターの谷内田真一ユニット長は、「今回確認したがん関連遺伝子の主なものは胆道がんの遺伝子とは異なる。十二指腸乳頭部がんの治療法を見直す必要がある」と話す。

~がん克に向かって~

 

 

 

がん克服【小児がん経験者】妊娠前不安に答える


国立成育医療センターに専門外来

 同センター(東京都世田谷区)は、専門外来の主体となる「プレコンセプションケアセンター」を昨年11月に設立し、今月から本格的に業務を始めた。

 特に、小児がんの経験者、糖尿病や甲状腺の病気、腎臓病、高血圧、気管支ぜんそくなどのある女性、臓器移植を受けた女性らの相談に力を入れる。

 同センターの荒田尚子・母性内科医長によると、持病のある女性が妊娠してはいけないと考え、出産機会を逃すケースが多々あるという。しかし、適切な方法を選べば・妊娠・出産が可能な場合も少なくない。妊娠中に母体の高血糖が続くと、胎児先天性異常の頻度が増えるが、適切な治療でリスクは減る。「持病の治療と妊娠を両立できるように支援していきたい」と荒田さんは語る。

 相談や検査は自費診療となる。初回相談は30分1万円。

~がん克服~

がん克服【がん10年生存率初集計】


全がん協(全国がんセンター協議会)が公表

 全国32のがん専門病院でつくる「全国がんセンター協議会」が1999~2002年にがんと診断され治療を受けた人の10年後の生存率を初めて集計し、公表した。全体の10年生存率は58,2%。肝臓がん・肺がん・乳がんなどは、5年目以降も生存率が下がっており、長期にわたる定期的な健診が必要とされることが示された。

再発の可能性は、何年経過してもある

 がんの生存率は治療を示す指標で、これまでは5年生存率が公表されていた。10年生存率は16施設の約3万5000の症例を基に算出し、部位別に1~10年目の経過やステージ(病期)ごとのデータも示した。

 部位別の10年生存率は●食道29,7%●胃69,0%●大腸69,8%●肝臓15,3%●すい臓4,9%肺33,2%●乳房80,4%●子宮頸部73,6% など。

 国内の患者数が多い「5大がん」を見ると、胃がんや大腸がんは診断から5年を過ぎた時点の生存率が約70%で、そのままさがらなかった。これは、5年経てば再発の危険性が大幅に減る事を意味する。一方、乳がんは5年後が約90%、10年後が80%と下がる。肝臓がんも5~10年の間で生存率が約3割から2割以下。肺がんも約4割から3割に低下した。

5大がんのステージ別10年生存率(%)

 部位     1期    2期   3期   4期      手術率

 胃がん   95,1  62,7  38,9   7,5         73,5  

 大腸がん  96,8  84,4  69,6   8,0         89,0

 乳がん   93,5  85,5  53,8  15,6         96,3

 肺がん   69,3  31,4  16,1   3,7         48,5

 肝がん   29,3  16,9   9,8   2,5         27,2

 千葉県がんセンターの三上春夫予防センターは「何年経っても再発の可能性があり、定期的な受診が大切」と語る。

 ただ、これらは10年以上前の患者のデーターで「今は治療法の選択肢も増えていて、数値が改善される可能性がある」(国立がん研究センター)という。

 集計結果は全がん協のホームページ(http://www.zengankyo.ncc.go.jp/)で公開され、別の約14万7000症例を基にした5年生存率も見ることができる。

 データーをまとめた群馬県立がんセンター前院長は「患者さんには医師と話し合う資料として使ってもらえれば」と話す。

~がん克服のために~

 

 

 

 

 

 

がん克服【がん増殖の遺伝子発見】がんセンターチーム


新しい治療薬開発の可能性

 さまざまな種類のがんの増殖に関わる遺伝子をみつけたとの研究成果を、国立がん研究センター研究所のチームが12日付の科学雑誌に発表した。低酸素や栄養不足などのストレスにさらされる細胞を保護する働きをしており、この遺伝子の働きを阻害する物質を開発できれば、幅広くがん細胞の増殖を抑える新たな抗がん剤につながる可能性があるという。

 チームは、「IER5]という遺伝子が作るたんぱく質に着目。がん化との関連は知られていなかったが、分析の結果、だいちょうがん、胃がん、腎臓がん、卵巣がんなど様々ながん組織で、正常組織より量が増えていた。

 人のがん細胞がんを使った実験などから、この組織が「HSF1]という別のタンパク質の働きを活性化し、がん細胞をストレスから回復させる「HSP]というたんぱく質が新たに作られることが判明。がん細胞でIER5の働きを抑えたところ、増殖が抑えられた。

 また、膀胱がんや脳腫瘍などでは、IER5が活発に働いている患者は、あまり働いていない患者より死亡率が高く、がんの進行や移転に関与している可能性も示された。

 同研究所希少がん研究分野の大木理恵子主任研究員は「正常な細胞でのIER5の働きはまだわかっていないが、IER5の働きを阻害する物質が見つかれば、様々ながんを抑制する治療薬の開発に繋がる可能性がある」と話す。

~がん克服に向かって~

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