【がんのお話】中川恵一・東京大学付属病院准教授(緩和ケア診療部長)
- 2012年03月28日
- がんニュース
中川恵一・東京大学付属病院准教授(緩和ケア診療部長)のお話。-毎日新聞―
子宮頸がんは、乳がんと並んで若い女性のがんの代表です。その原因のほぼ100%が、
性行為によるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染です。
このウイルスは、8割近くの女性が感染経験を持つ、ありふれたものです。感染しても、
がんに繋がる確立はごくわずかです。しかし、逆に、性行為をするすべての女性に子宮頸
がんのリスクがあるともいえます。
そのHPVへの感染を予防するワクチンが開発され、昨年ようやく認可されました。
ウイルスに感染する前の10代前半の女性に接種するのが一番効果的ですが、成人女性
でも有効とされています。ワクチンによって子宮頸がんのリスクは3~4割まで下げられ
ると考えられています。このワクチンに加えてがん検診を行えば、子宮頸がんで命を落と
す事はまずなくなります。かって、天然痘が撲滅されたように、子宮頸がんは防げる病気
になったのです。
しかし、日本は残念ながら子宮頸がんの予防でも、欧米に遅れとっています。子宮頸がん
の受診率が欧米では8割と高いのに日本は2割程度にとどまっています。
HPV予防ワクチンも、欧米では公費負担で12歳前後の女子に接種するのが常識です。
たとえば、オーストラリアでは12歳と13歳の全ての女子を対象に、学校で接種が実施
されています。全額公費負担で、個人負担はありません。イギリスなども同様です。
学校でがん教育をきちんとしたうえで、10代前半の接種を進める必要があります。
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