がん克服 【方向自在 がん狙い撃ち・重粒子線治療装置を改良へ】 


独立行政法人放射線医学総合研究所(千葉市)は、手術の難しいがんを治す「重粒子線がん治療装置」の機能を高めた新装置の開発を始めた。新装置では、治療時間を半分以下にでき、患者の負担軽減につながるほか、治療できる患者数が増えることで治療費を大幅に下げられるという。約30億円をかけ3~4年後の完成を目指している。

重粒子線がん治療装置は、放医研が世界で始めて実用化し、1994年から治療を始めた。一般的な放射線治療装置と比べてがん細胞を壊す力が強く、体の深いところのがんでも手前の他の臓器に影響が殆んど無いようにできる。同研究所で年間約700人が治療を受けているほか、兵庫県立粒子線医療センター、群馬大にも同装置がある。

ただ、現状では、ビームの向きを変えられないため、がん場所や形によっては、患者の姿勢を斜めにするなど何度も動かす必要がある。このため肺がんなどでは一回の治療に1時間以上かかる場合もあり、体力の衰えた患者には負担が大きい。また、保険適用外のため治療費が一人約300万円と高額になることも課題だ。

新装置は、超伝導磁石で作った磁場でビームの向き自由に変えられるようにする。別に開発したビームを一筆書きのようになぞって当てる技術と組み合わせ、複雑な形のがんでも患者の姿勢を変える必要がなくなる。また、治療時間も半分以下の30分ほどでできる場合もある。鎌田正・重粒子医科センター長は「新しい装置で治療費を下げ、より多くの人へ治療を普及させたい」と話している。

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