がん克服【がんステージの決め方】


がんの「ステージ」は何が基準で決まるのか。

がんのステージは、病の進行度を示します。全てのがんは0から4の5段階に分かれ、4が最も進行した段階です。

 ステージは「がんの大きさ」「リンパ節への転移の有無」「他の臓器への転移の有無」で判断します。「ステージ0」は、がん細胞が粘膜(上皮細胞)にとどまっている段階です。「1」は、腫瘍が筋肉の層にとどまっている段階です。「2」は、筋肉の層を越えているいるが、リンパ節転移がない段階から少しリンパに転移がある段階を示します。「3」は腫瘍が広がっており、リンパ節にも転移している段階です。「4」は、他の臓器への転移が見られる段階を指します。

 部位によっては、同じステージでもさらに「a」「b」などに細かく分類される場合もあります。治療法も、各部位、各ステージによって違ってきます。個人によって進行具合等違ってきますので、医師とよく相談され適切な治療を心がけて下さい。

 ~がん克服~

 

 

がん克服【子宮頸がんワクチン健康障害】


患者8割同じ遺伝子

 子宮頸がんワクチン接種後の健康障害を訴える少女らを診察している厚生労働省研究班代表の池田修一信州大学教授は16日、脳機能障害が起きている患者の8割弱で免疫システムに関わる遺伝子が同じ型だとの分析結果を発表した。事前に遺伝子型を調べることで、接種後に障害のでる予測につながる可能性があることを示したと、厚生労働省で開かれた発表会で公表した。

 研究班は信州大と鹿児島大で、ワクチン接種後に学習障害や過剰な睡眠などの脳機能障害が出た10代の少女らの血液を採り、遺伝子「HLA-DPB1」の型を調べた。

 その結果、「0501」の型の患者が信州大で14人中10人(71%)鹿児島大で19人中16人(84%)を占めた。「0501」型は一般の日本人の集団では4割ていどとされ、患者の型に偏りがみられた。

 池田教授は、「ワクチンの成分と症状の因果関係は分からないが、接種前に血液型でHLAを調べることで発症を予防できる可能性がある」と話した。

 研究班は今後、対象を手足の痛みなどの別の症状のある患者も含めて150人に広げ、発症のメカニズムなどについて研究を進める。

 子宮頸がんワクチンは2009年12月以降、小学6年から高校1年の少女を中心に約338万人が接種をうけたが、副作用報告が相次いで13年6月から接種の呼びかけが中止されている。

 免疫異常誘発可能性

 厚生労働省研究班の今回の分析は、子宮頸がんワクチンの接種が自己免疫異常を引き起こしている可能性を示す。

 まだ調査は少なく「科学的に意味はない」(日本産婦人科学会前理事長の小西郁夫・京都大教授)との指摘もあるが、厚労省の専門家検討会が原因とみている接種時の痛みや不安に伴う「心身の反応説」とは異なる研究で、今後の結果が注目される。

 世界保健機構(WHO)は同ワクチンの安全宣言をだし、接種の呼びかけを中止している日本の対応を批判している。名古屋市も昨年、7万人を対象にした調査で接種者と未接種者の間に発症差はなかったとの結果を発表しており、接種再開を求める声も強い。

 ただ、患者らが訴える症状の原因は、まだ解明できたとは言えない。研究班は複数のワクチンのをマウスに接種する実験で、子宮頸がんワクチンのを打ったマウスの脳神経だけに抗体が沈着する以上が見つかったとしており、新たな知見が得られる可能性もある。 

 接種再開の議論をする際には、厚労省が進めている大規模免疫学調査に加え、原因解明や治療法の」開発状況を考慮することが求められる。

HLA

 細胞の表面にあるたんぱく質で、体に入る異物を攻撃する目印になる。HLAを構成する遺伝子は複数あり、それぞれのHLA型は糖尿病やベーチェット病など様々な病気のなりやすさと関係しているとされる。研究者らがつくる国際データーベースによると「HLA-DPB1]の型が「0501」の人は、日本や中国、オーストラリヤなどで多い一方、欧州や北米では低い傾向にある。

~がん克服~

 

 

 

がん克服【家族の会を発足】福島の甲状腺がんの患者ら


「家族の会」会員募集

 東京電力福島第一原発事故後に福島県が実施している県民健康調査で、甲状腺がんと診断された5人の患者とその家族が12日、「311甲状腺がん家族の会」を発足させた。

 孤立している患者や家族同士が親睦を深め、治療や情報交換・課題解決のために政府や県に働き掛けていくという。

 県子調査では昨年末までに、事故当時18歳以下だった166人が甲状腺がんやその疑いがあると診断されている。

 この日の記者会見には、患者2人の父親もインターネット中継で参加。事故当時10代の患者の父親は「突然がんと言われて辛い思いをした。気持ちを分かり合える方たちと話しただけでも救われる思いだ。悩んでいる人は沢山いると思う。勇気を出して参加してほしい」と呼びかけた。

 年会費は1家族1000円。入会や相談は070-3132-9155まで。

 メール311tcfg@gmail.com  ホームページ311kazoku.jmdo.com

 

 

 

 

 

がん克服【子宮頸がんワクチン接種後健康被害】


 健康被害の18歳 センター試験に挑む

 子宮頸がんワクチンの接種後、全身の痛みや脱力感などの健康被害に苦しむ白井市の園田絵理菜さんが、16日に行われた大学入試センター試験に挑んだ。車いす生活で、外出も困難のため、合格しても通学できるか不安だ。それでも、「もう一度、社会とつながりを持ちたい」と、歩もうとしている。

 最初の接種は中学3年だった2011年8月。「3年の3月までに接種すると、補助金を受けられる」という自治体からの通知を受け、近くの病院で接種した。直後から体の痛みや出血があり、通学の電車の中で失神したこともあったが原因がわからず、3度接種した。

 高校2年の冬から頭痛や関節痛が酷くなった。11以上の病院を回り、MRIなどを使った検査も受けたが常に「異常なし」。医師から「心因性のもの」と言われたこともあった。歩行障害にも苦しみ、杖をついて学校に通ったが、課題を提出できないこともあった。ある教師には「みんなが頑張ってやっているにに、貴女だけが出来ないのはおかしい」と突き放された。両親から叱られたこともある。

誰にも理解してもらえない

 体も頭も痛いけど、理解してもらえない。「死んだ方が楽」と何度も思った。成績は急カーブで落ち、卒業に必要な出席日数も足りなくなった。高校3年だった14年10月、「友達と一緒に卒業できないのなら、せめて同じ時期に卒業したい」と、中高一貫の全日制から、自宅で勉強できる通信制の高校に転校した。楽しみにしていた卒業旅行には行けなかった。

 その後、原因を知りたくてインターネットで調べ、同じ症状に苦しむ同世代の存在を知った。「国が推奨したから接種したのに。友達と楽しく過ごしていた日々をを取りかえしてほしい」。母親の小百合さん(52)は、摂取させたこと、叱ったことを悔い自分を責めた。「人生で一番いい時期なのに。治療法も確立されていない中、苦しむだけの毎日はまるでトンネルの中にいるよう」。と何度も涙した。

夢に向かってもう一度頑張る

 昨年3月に通信制の高校を卒業した。社会とのつながりを失った日々をおくる中、テレビドラマを見て中学の頃抱いた「科学捜査研究所で犯罪者プロファイリングをする」という夢を思い出した。心理学を学べる大学を目指そうと決意し、インターネットで予備校の講義を受けながら、国語、英語、日本史の3教科を勉強してきた。以前より集中力も落ち、続けて勉強できるのは1時間がやっと。体調が悪い時は机に向かうことさえできないが、大学案内を見ていると「この教授の講義を受けたい」「サークルに入りたい」と、心が弾む。

  何回も受験することが難しいため、活用する大学が多いセンター試験を受けることにした。車いすの使用や教室までの付添が認められる会場が少ないため、家から車で2時間近くかかる千葉市の千葉大を指定された。

 今でも、脱力のため一人で風呂に入れない日もある。症状悪化に対する不安も消えることがない。でも「夢があれば、社会とのつながりが持てれば、トンネルの中に一筋の光が見えるかも知れない」と母親の小百合さんは常に寄り添い、全力で支える。「学校に行けなくなった私たちに学ぶ機会を与えてほしい。やらずに後悔するより、やれるだけやる」。絵理菜さんは、そうおもっている。

国、各自治体はこの問題にどう取り組むのか

 絵理菜さん以外にも、数多くの人が健康被害に苦しむ。子宮頸がんワクチンの接種は、2010年度に国の助成事業になり、予防接種法改正で13年4月、小学6年~高校1年を対象に、接種が国民の努力義務となった。09年12月~15年に約340万人が接種を受け、2700人の副作用が国に報告されている。頭痛や筋力低下、失神、意識レベルの低下など症状は多様。厚生労働省は13年6月以降、接種を積極的に勧めることを控えている。

 国の救済制度が遅れているなか、千葉県浦安市では2015年11月から、子宮頸がんワクチン接種による副作用発症者に対し、市独自の医療支援体制を設け、通院や入院の期間に応じて治療を受けた月毎に、3万3200~3万6000円の医療費を支給するほか、医療費の自己負担分も支給している。

 国にも、予防接種法に基づく救済制度があるが支給決定の手続きが遅れている。金銭面のほか、貴重な青春時代を奪われ、後遺症に悩む若い人たちに対する補償をしっかり考えてもらいたい。

~がん克服~

 

 

 

 

 

 

 

がん克服【切らない手術】放射線の三次元照射


胸と背中から一直線に病巣を照射

 がん治療で注目を浴びている放射線の三次元(立体)照射治療。専門的には定位手術的照射(SRT)と定位放射線治療(SRT)の二つの治療法をいうが、あらゆる方向から放射線を集中照射して治す治療方法だ。

 以前の放射線治療は、がん病巣の前後から照射する一次元照射が通常であった。例えば肺がんを例にとると、胸と背中からがん病巣を一直線上において照射する方法である。

 二次元照射は、一平面上のいろんな角度から照射する。先の肺がんを例にとると、胸を横に輪切りにした一平面上で様々な方向から照射する。

 三次元照射とは、がん病巣の一点に四方八方から放射線を当てる方法だ。放射線の交わるがん病巣が受ける線量(放射線の量)は非常に大きいが、その周辺の正常細胞が受ける線量はほぼゼロとなる特徴がある。副作用を極力抑えることができ、切れ味鋭い治療効果が得られるため「切らない手術」と評価されている。

手術不可でも治療できる画期的療法

 Aさんは、右肺の下葉区域切除手術を受けた2年後今度は左肺に扁平上皮癌(へんぺいじょうがん)が見つかり、再度大がかりな左肺の下葉区域切除手術と術後の放射線治療を受けることになった。この時の放射線治療は二次元照射で、一回2グレイの放射線を25回受けたが、それから半年も経たないうちに左肺に3cm大のがん再発が見つかった。

 5月前に左肺の大手術を受けていたので、再手術は無理と判断。抗がん剤も効かない。従来の放射線治療(二次元)も治癒させるには不十分と考えられ三次元照射を選択。

 治療は成功し、再発がんは跡形もなく消滅し以前と変わらない生活をしている。

がん克服【がんの栄養血管を叩く】


がんは新生栄養血管を要求する

がん細胞は、正常な細胞よりも増殖力が旺盛だ。実験室で、腎臓や肝臓の細胞を培養して増やすことが出来ればその治療に少なからず利用できるが、現在の先端技術でも研究段階だ。一方、がん細胞の培養は至って簡単だ。栄養さえ与えておけばほっておいてもどんどん増えていく。今日3cmだった肝臓がんが1ヶ月も経たないうちに5cmになったりする。

それだけ増えると言う事は、栄養を旺盛に要求していると言える。がん細胞は、人間が持っている通常の栄養血管だけではがん細胞自身をの生命を保つことができない。がん細胞自身を養うために腫瘍新生栄養血管というオリジナルな栄養パイプを伸ばし張り巡らせることで自分のテリトリーを守り、家族をすさまじい勢いで増やしていく。

がんを兵糧攻めにする

がん細胞に侵されると、がん細胞に栄養をとられて正常細胞の機能が低下し、貧血になったり、体重がげんしょうする、肝臓や肺などの働きが衰えるなどの弊害がでてくる。さらに免疫力が低下して間接的にがん細胞の増殖を野ざらしにするばかりでなく、抵抗力がなくなることで肺炎などもおこしやすくなる。

逆にがんの申請血管を根絶すえば、がん細胞は生き続けることが出来なくなり、あっという間に死滅してしまうことも考えられる。がんの新生栄養血管叩いて兵糧攻めにするということは、増殖力旺盛ながんのウイークポイントであり、一つの重要な治療手段として期待される。

新生栄養血管とは?

通常の健康状態では新生血管(新しい血管)が作られることはない。新生血管がつくられるのは、ケガをした部分や、慢性関節リウマチ、妊娠などの時だけだ。

しかし、がんの場合は新生血管が行われるのは細胞ががん化するよりも早いと言われている。0期でもすでに血管新生が始まっていることがしばしば見られ、進行がんへのシナリオがすでに準備されているという。なんとも恐ろしい話だ。

ただ、新生血管が新生血管が出来ただけでは《進行がん》ではない。新生血管に乗ってがん細胞が広がった時に進行がんとなるので、その前の新生血管を叩いておけば良いわけだ。

がんと新生血管

がんの増殖速度は血管新生に依存

①がん細胞の芽生え

②がん新生栄養血管因子の放出

③がんが新生栄養血管を伸ばす

④がんが栄養補給路を確保

⑤がんの増殖始まる

⑥正常細胞の弱体化

⑦免疫細胞の無力化

⑧がんのコントロール下におかれる

がんは酸素や栄養を、通常細胞よりはるかに多く必要とするためがん細胞は新生血管誘導物質を出して、身近な血管につなぐ腫瘍血管を誘導する。この新生血管がなければがんは大きくなることができない。

がんが進行すると、エイリアンのように張り巡らせた新生血管だらけになる。そうなる前に新生血管を叩くことががん治療の必要事項と考えられる。

新生血管を叩くことによって、がんを根治出来る可能性がある。日本人の二人に一人ががんになり三人に一人ががんで亡くなるという現代。早期発見と共に新生血管を叩く方法の両方が開発されれば、がん治療に光明が射すはずだ。~期待してやまない~

~がん克服に向かって~

 

 

 

 

 

 

 

 

がん克服【がん早期発見】がんリスクを評価


アミノサン濃度の変化を分析

血液中のアミノサンの濃度を測って、がんのリスクを評価するスクリーニング検査が、全国の医療機関で普及し始めている。初期発見の難易なすい臓がんの発見も期待される。血液から簡単に早期発見が可能なため、がん検診の一つとして期待が大きい。

全国1000ヶ所の医療機関で導入

人の体のタンパク質は、主に20種類のアミノ酸で作られている。健康な人血液の中にあるアミノ酸は一定に保たれているが、がんなど病気になるとその濃度バランスに変化がおこる。つまり、健康な人とがんなどの病気にかかった人とでは、血液中のアミノ酸のバランスが違ってくるわけだ。

その違いを健康な人とがん患者のデーターから解析して、がんのリスクを評価するんが「アミノインデックス・がんリスク・スクリーニングだ。食品メーカー大手の味の素が、10年程前から、全国の医療機関の協力を得て、約20000人の血液を分析して開発した。

現在検査できるがんの種類

現在この検査方法が適用されるのは、男性で、●胃がん●肺がん●大腸がん●すい臓がん●前立腺がんの五つ。女性では、●胃がん●肺がん●大腸がん●すい臓がん●乳がん●子宮がん●卵巣がんの七つのリスクが評価できる。

奈良県宇陀市の医療機関「グランソール奈良」は、昨年12月からアミノインデックスの検査を導入した。辻村貴弘院長は、「しっかりしているので導入した。これまでに400人ほどが受けた。早期発見、早期治療に結びつく検査法として期待している」と話す。

検査を受けた結果は、A,B,Cの三段階のランクで評価される。Aは健康な人とさほど差はないが、B,Cになるとがんのリスクは高くなる。例えば、「胃がんリスクC」と判断されれば、通常の人のがん有病率は約10倍と判断する。これを人数で表すと、C判断を受けた98人のうち1人ががんの可能性があるという。同じ胃がんでも、ランクBだとがんにかかっているリスクは低くなり、625人のうち一人という確率になる。リスクBの人は、通常のがん検診を勧められる他、運動、野菜・果物の摂取などがん予防につながる生活改善などの指導が行われる。

がんのリスクの高い人を見つけ出す

この検査法を、当初から共同研究してきた足利工業大学看護学部長の山門実さんは、「この検査は、がんのリスクの高い人(ハイリスク群)を見つけ出す方法として有効だ。日本では、がん検診を受ける人ん比率が世界的に診ても低い。血液を調べるだけで見つけ出せるので検診者の増大につながれば」と話す。

特にすい臓がんに注目

最近、特に注目されているのがすい臓がん。手術が可能な段階の患者と思い進行がんの患者のアミノ酸濃度が同じようなパターンを示すことがわかり、今年6月に開催された日本膵臓学会で、すい臓がんの早期発見法としての成果が「臨床研究部門賞」を受賞した。すい臓がんは早期発見が難しいだけに今後の期待は大きい。

すでにある健診と組み合わせる方みある。大腸がんの場合、便の中に血が混じっているかを調べる検査がある。この検査で異常なしと判断されても、アミノインデックスではランクCというケースもありうる。血便検査で陽性の上、アミノインデックスでもランクCなら、がんのリスクは一段と高くなる。

問題は、現在アミノインデックス検査には保険が適用されないことだ。医療機関によって差はあるが、自己負担額は約2万円程だ。予防医療に力を入れる神奈川県は、今年9月から、自己負担を軽くするため、補助金を出すようにした。がんを減らす社会を目指し、保険適用を早期に実現出来るようにお願いしたい。

~がん克服のために~

 

 

がん克服【のどに違和感】かすれる、たんが絡む、声がかすれる


がんの可能性がある

喉の違和感や声のかすれは、喉頭がんの代表的な症状である。また声帯の動きは、食道と気管の側面から喉頭に達する反射神経によって制御されるため、甲状腺や食道のがんでも、反回神経が侵されると神経が麻痺して声帯の動きが阻害され、声が出にくくなる。

また下咽頭がんが出来た場合も、のどに違和感が出てきて、進行すると声のかすれのほか、食事が通りにくくなったり、呼吸がくるしくなったりする。

予防が大切

がん克服【胃がん患者を助けたい】世界初胃カメラ・日本で開発


内視鏡の歴史・人間の目を超えた内視鏡

内視鏡のルーツは、古代ギリシャ時代にさかのぼる。「医聖」と呼ばれるヒポクラテスの全集には、痔の治療のために肛門に鏡を差し込んで直腸を観察した記述が残されている。

1805年 ドイツの医師ボッチニが金属製の筒を尿道や直腸、咽頭に入れてランプの光で観察する「導光器」を作成。

1853年 フランスの医師デソルモが尿道や膀胱を観察する器具を作成。エンドスコープ(内視鏡)と命名。

1868年 ドイツの医師クスマウルが長さ47㌢直径13㍉の金属管を大道芸人(剣を飲み込む芸人)の胃に差し込み、手元のランプを頼りに、世界で初めて生きた人間の胃を検査した。

1932年 ドイツの医師クスマウルが先端に豆電球をつけた「軟性胃鏡・長さ75㌢、直径11㍉」を開発。

その後、管の先に小型カメラを付けた胃カメラの原型も登場したが、画像が不鮮明で実用には使えなかった。

1949年 東京大学病院小石川分院の宇治達郎医師が、カメラメーカーの「オリンパス」に胃カメラの制作を依頼。

1950年 オリンパスの技術陣が世界で初めての「胃カメラ」の試作機が完成。だが、胃の中でストロボをたき、感光させたフイルムを抜き取って現像する仕組みだったため、診断に時間がかかった。

1964年 胃カメラにガラス繊維を導入したファイバースコープ型内視鏡を開発。生の映像を観察が可能に。

1960年代後半 先端にポリープを切断するハサミが取り付けられる。この時点で内視鏡は観察器具から治療器具となった。

1985年 内視鏡の先端に電荷結合素子(CCD)を取り付けたビデオスコープが国内販売になり、複数の医師の同時観察が可能になる。

1987年 フランスの外科医モレが、ビデオスコープの映像をモニターで見ながら胆のう摘出手術に成功。

1991年 内視鏡を用いた胃の切除手術が開始される。

1992年 内視鏡を用いた胆のう摘出手術が国内で保険適用になる。

1997年 イスラエルの研究者がカプセル内視鏡の原型を発明。

2012年 内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ」の前立腺がん治療が保険適用になる。

2014年 8Kカメラを搭載した内視鏡で初の胆のう摘出手術。

2015年 ソニーとオリンパスが4Kカメラ搭載の内視鏡を発売。

「胃がん患者を助けたい」

宇治達郎東大病院医師の思いが届いた

「胃カメラ」の開発は、1949年に東大病院の宇治達郎医師がカメラメーカーの「オリンパス」に開発を依頼したのが始まりだった。その年、新入社員で開発部門に配属された中坪寿男さん(同社元専務・86歳)は、宇治医師が「胃がんを早期発見できれば、多くの患者を助けることができる」と会社に粘り強く説く姿をよく覚えていると話す。

胃がん死亡率が低下

長い間、胃がんは日本人のがん死因のトップであった。それが、この半世紀で胃がん死亡率は8割も減ったことは、内視鏡の進化と無縁ではない。1949年に「胃カメラ」を手掛けた「オリンパス」は消化器内視鏡で世界の7割のシェアを誇る。

世界で初めて「8Kカメラ」(約3300万画素)

搭載内視鏡で手術

昨年11月、杏林大学病院で世界で初めて「8Kカメラ」を搭載した内視鏡を用いた胆のう摘出手術が行われた。大型モニターには患部の細い血管や薄い粘膜の映像が映し出された。血管を誤って切るなどのミスの軽減が期待される。産学連携で開発を進める千葉敏雄・日本大学総合科学研究所教授は「人間の限界を超える《目》を手に入れた。今後この目に見合う《手》、つまり超精密な治療ロボットが求められていくことになる」と話す。

~がん克服のために~

 

 

がん克服 【遺伝性がん発見へ】


病院間で情報共有

がんの中には、数は少ないが遺伝子由来のものがある。そのような遺伝性のがん診療に、地域の病院が協力して取り組もうというネットワークが各地で発足している。どこでどんな検査や手術ができるかなどの情報を病院間で共有し、患者に早い段階で治療の選択肢を示すのが目的だ。

全ての人に細胞のがん化を防ぐ遺伝子が備わっている

遺伝性腫瘍の多くは、細胞のがん化を防ぐ「がん抑制遺伝子」の変異で「がん化を阻止するブレーキ」の働きが悪くなるのが原因。遺伝子性でなくても、がん抑制遺伝子の変異が重なってがんになることは少ないが、遺伝性の場合、生まれつき遺伝子の一部に変異があり、がんになるリスクが高い。これまでに乳がん、卵巣がん、大腸がんなどの遺伝性がんがみつかっている。

がんの家族歴などで判断

医師は、発症年齢の若さや親族にも発症者がいること(家族歴)などを手掛かりに遺伝性の可能性を判断する。築くのが早いほど、本人の家族に遺伝性カウンセリングや遺伝子検査、手術などを伝え、示せる選択肢が広がる。

例えば、遺伝子性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の場合、検査で遺伝子変異が分かれば、計画的検診でがんの早期発見を目指すことや、発症していない側の乳房の切除や卵巣摘出などの処置も可能になる。米女優のアンジェリーナ・ジョリーさんは、全く発症していない段階で両方の乳房と卵巣を摘出している。

最近まで遺伝子性のがんに対する関心は低かったが、各地にネットワークがが形成されている。東海地方で、複数の病院の相談業務に携わる認定遺伝子カウンセラー7の大瀬戸久美子さん(30)は「数年前のカルテを見て、最初に家族歴を聞いて遺伝子の話をしていれば、もっと良い選択肢を示せたのではないかと思った例は沢山ある」と話す。一方、「遺伝子ではないか」と思う患者がいても、全てその病院でその先の対応が出来るわけではない。

地域全体で情報を共有

東海地方では、遺伝子由来のがんに関心を持つ医師やカウンセラーらが中心となり、2013年にネットワークを完成した。現在は愛知、三重、岐阜、静岡から約20の医療機関が参加し、主にHBOCの治療で連携している。

例えば、あるがん患者が、家族歴から遺伝子性と疑われた場合、詳しい検査とカウンセリングが出来るネットワークの病院を紹介する。その後の治療はさらに別の病院ですることもある。大瀬戸さんは「地域全体で一つの病院となることを目指している」という。ネットワークの代表を務める愛知県がんセンター中央病院の岩田広治乳腺科部長は「がん全体に占める遺伝性腫瘍はそれほど多くなく、一つの病院で診断から治療まですべての体制を整えるのは合理的でない。複数の病院で情報を共有して役割を分担する方がより効率的だ」と話す。

北海道では、札幌医大や北海道がんセンターを中心に昨年から連記を開始した。メーリングリストを作り、道内外の80人の医療者がHBOCの遺伝子検査や手術に対応できる施設の情報を共有する。

吸収も、九州がんセンターが中心となって今年、約30施設がネットワークを発足させた。

遺伝子性がんの取り組みが広範囲で始まる

遺伝子性腫瘍の知識を専門外の医療者に広く伝える取り組みも始まった。7月下旬、大阪市の医学研究所北野病院で開かれたセミナーもその一つ。参加した医師から「今後必要になる知識だと実感した」との声が聞かれた。

主催者の一人だった大瀬戸さんは、「遺伝子検査やカウンセリングは特別なものではなく、日常の健診に近づいています。知らないではすまないと、危機感を持ってもらいたいです。」と話す。

~がん克服のために~

 

 

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